▼「いさぶろう・しんぺい」と車窓
今回の旅の目玉「肥薩線の山線」を走る観光列車いさぶろうに乗り急勾配の
難所を山越えして吉松まで行きます。吉松へ向かう列車を「いさぶろう号」
人吉へ向かう列車を「しんぺい号」と言っています。人吉を出発して球磨川
の鉄橋を渡ると、列車は山へと分け入って行きます。今日はあいにく朝から雨
模様で天候は列車とは逆にどんどんと下り坂で、おまけに霧も発生して最悪の
状況となってきました。観光列車と名が付くだけに、眺望の良い場所で立止り
解説の案内がありましたが、結局濃霧で外は真白、唯一線路脇の眺望案内版の
みが見えただけでした。残念帰りのコースを変更し再度チャレンジし目的を
達成することができました。
いさぶろう号は終点吉松までに3つの駅に停車する。先ず最初に停車するのは
大畑(おこば)駅日本で唯一スイッチバックとループ線が併用された駅です。
大畑駅からスイッチバックして再び戻りながら登る。山をぐるりと回るループ
線になっており一周したところで、車窓の眼下に再び大畑駅が見えました。
次の矢岳(やたけ)駅は海抜536.9m、肥薩線最高地点にある駅です。
D51を保存したSL展示館(展示館とは名ばかりで倉庫みたいなもの)を
併設しています。
矢岳トンネルを抜けると、そこには日本一の車窓風景が広がっていました。
手前に川内川その奥には悠然たる霧島連山の神秘的な風景が見えその下に
えびの市が見えます。まさに神の棲む地にも思われ、天孫降臨の伝説も生
まれる所以です。
最後に停車した真幸(まさき)駅は、宮崎県えびの市に属しています。
真の幸福を呼ぶと言う縁起の良い駅として有名な駅で、ホームには幸せの鐘
が設置されています。
トンネルの人吉側には、当時の逓信大臣・山縣伊三郎の揮毫で「天険若夷」(てんけんじゃくい)、吉松側には、鉄道院総裁・後藤新平の揮毫で「引重致遠」(いんじゅうちえん)の扁額が取り付けられています。これらの言葉を繋げて読むことにより、「天下の難所を平地であるかのように工事したおかげで、重い貨物であっても、遠くまで運ぶことができる」という意味になっています。この2人の名前は、観光列車「いさぶろう」「しんぺい」号としても有名です。
日本三大車窓とは「根室本線 狩勝峠越え」「篠ノ井線 姨捨」「肥薩線 矢岳越え」
写真は全て肥薩線矢岳越えです
真幸駅とスイッチバック